2411JLIA オープンファクトリーを行った革財布会社さんに話を聞いてみた

毎度です!「1ヶ月間以上休みなく毎週何かしらイベントあった」ムラキです

さすがに途中で数日倒れました。喋りすぎて喉を痛めた、というものです。まぁ、この喉を痛めた、というのが今回のblogのオチとなりますわ。

今月はオープンファクトリーの話しとなります。

御縁があってオープンファクトリーを端から見て10年くらい立ちますが、今年は全国的にオープンファクトリーが多数開催されていました。今回の話しとしては下記のようになります。

・オープンファクトリーってどんなもの?
・オープンファクトリーを実際に受け入れた会社さんに聞く、オープンファクトリーの経緯
・オープンファクトリーをやるのに大切なこと

などとなります。

いつから始まったの、オープンファクトリーって?

私が意識しはじめたのは新潟の燕三条のイベントです。調べてみると2012年ですね

事例紹介2014 – openfactory

東京台東区 のモノまち、が2011年、新潟の燕三条の「工場の祭典」が2013年ですね。

燕三条 工場の祭典について – openfactory

オープンファクトリーとは、開かれた工場、というだけあって普段は見ることが出来ない工場見学、という意味合いが強いです。

以前紹介した村瀬鞄行さんが所属するランドセル業界などでは革業界でもトップクラスに工場見学を行っている業界ですね。彼らからしたら「土日あけているのは当然」「土日でも工場は動いているのでどうぞ見てください」となっています。

【村木るいさん連載】ランドセルの「自由研究」と「職人さん」と「ジャパンレザーアワード」の話 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

なんのためにオープンファクトリーをするのか。メリットは?

BtoC(企業が消費者相手に商売をする)ではなく、工場というのは基本的にBtoB(企業対企業。企業が企業相手に商売をする)というシステムになります。工場が一般消費者相手に工場を開くメリットは少ないといや少ないです。

下記は大正大学の地域抗争研究所のレポートからの紹介となります。

大正大学地域構想研究所
産業集積地におけるオープン・ファクトリーの取組事例

オープン・ファクトリーによって創出されるメリット

〇参加企業のメリット

(1)ビジネスチャンスの創出
(2)愛用者・ファンの醸成
(3)従業員のモチベーションの向上
(4)後継者の発掘・人材育成
(5)消費者の声やニーズ把握

〇地域・社会へのメリット
a)社会教育
b)産地の産業振興
c)エリアの新しい魅力づくり
d)地域コミュニティの創出
e)交流人口の拡大
f)地場産業地域の産業観光の課題

なにやら難しく書かれているように思えますが、実際に読むと簡易な説明でわかりやすくオープンファクトリーについて書かれていると思います。上記を踏まえて、オープンファクトリーをやった人に話を聞いてみました。

某・東京の下町and観光地でのオープンファクトリー関係者と話してみたら「地元に知ってもらうのがとても大事なんです」

東京で某有名観光地and下町でオープンファクトリーを開催されている関係者の方と挨拶したことがありまして。

あなたのところは観光地としても有名でしょ?今更観光客を呼ぶ必然性はあるの??

———違うんですよ、ムラキさん( ´Д`)=3 オープンファクトリーをやって、『僕らは昔からこの地でこのようなモノづくりをこの工場でやってきたんですよ!』と地元の住民にアピールするのが重要なんです!これをしないとですね、地元からいつ追い出されるかわからないんです。

———毎日ガッチャンガッチャンと工場の中で何をやっているのかしらんがなにか作っている。うるさい。トラックの出入りが激しい。子どもに危険だ。だから、でていってもらおう!という流れが生じかねないんです!

———だからオープンファクトリーで地元のお父さんやお母さんや子どもに見てもらって「あぁ、こういうことしているんだ」と理解してもらうのがとても大事なんです!」

 

!!!あぁ、なるほど!そういうことか!観光客に来てもらおう、とか、アウトレットセールで儲けよう!とかないのか!

———ないですないです!アウトレットセールで儲けよう!とか思っても僕ら普段はBtoBの商売ですし、売るものもないですよ!

大阪の財布メーカー「ナダヤ」さんにオープンファクトリーについて聞いてみた

大阪の財布メーカー「ナダヤ」さんは以前人材募集で相談をうけたことがあります。

求人:財布メーカーのナダヤさんが職人を募集、というので聞いてきたし、音声動画もアップしてみた | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

ナダヤさんも11月にオープンファクトリーに参加されていました。

財布のナダヤさんがオープンファクトリー 11/8.9(金土) in八尾 大阪 「こーばへいこう!」 | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

どうだったか?というのを聞き取り調査させてもらいました

オープンファクトリー、どれくらい人がきた?

今回のイベントは自社独自なの?

———いえ、違います。東大阪で行われている「こーばへ行こう!」という地域巡回型イベントの一環です。何かしら大きなイベント会場があってドカーン!じゃなくて、各工場が日付をあわせてオープンファクトリーしよう、というイベントですね

こーばへ行こう!2024

いつ、何をやったの?

———金、土、とやりました。10時~16時。事前予約で時間を決めて、ワークショップや工場見学。いつでもwelcome!でアウトレットセールですかね。

どういう内容だったの?

———工場見学、ワークショップ、アウトレットセール。それにキッチンカーに来てもらいました。

どれくらい人が来たの?

———2日間で予約90%で工場見学120人くらいですね。アウトレットセールだけを見に来たお客をあわせると230人くらいかな。
当日飛び込みは5~10人くらいです。30分前に「14時半の回いけますか!?」と問い合わせ来たりもしました。

それは非常識だな、とか思った?

———全く思いません。多分他の工場を見学して、その後時間が空いて行けそうだから問い合わせた!という感じでしたよ。それだけ今回のイベントを楽しんでおられるんだと思います。
tel受付窓口はやはりあったほうがいいですね。

 

事前準備や当日準備はどんな感じ?

あなたのところ土日完全に休みやろ?このイベントのために人員確保大変ちゃうの?

———ムラキさんもご存知のように、今って土日に社員を動かすのって大変なんですよね。お金も休日出勤で出さなきゃいけない。でもうちは年に2回ほど土曜日営業があるんですよ。

君のところは工場だろ?お店ちゃうやん。

———年2回だけアウトレットセール的なことしているんですよ。だからこの「こーばへ行こう!」というイベントにあわせて土曜出勤してもらいました。

工場の人はともかく、受け入れ体制はどれだけ人員割いた?

———予約受付として1名。社長である私がやりました。で、ワークショップやアウトレットセールの販売などを社員に行ってもらいました。それが12~15人体制。少なくなったら8人前後でまわしていましたね。

どういう意図でオープンファクトリーやったの?

あなたのところはBtoBとBtoC、両方だけど、工場見学やろう!ってのはなんで?


———ムラキさんが前例で出してくれた他の地域のオープンファクトリーと同じですよ。やはり地元の人に知ってもらいたいから、です。長年この地で工場やっていますが、多分地元の人、「ここで財布作っている」とか知りませんよ。うちはBtoCといってもリアル店ありませんが、知ってもらうことで「前みたあの工場の財布をネットショップで買おう」となりますから。

———あと社内の中には「いつもの工場が消費者がきてワチャワチャするのはなぁ」という声もあるんですが、それでも「このイベントに参加するのは反対」という声はなかったです。

今回は地域のイベントとして行ったけど、運営はどうだった?

運営はどういう流れだったの?今は経産省や近畿経済産業局が支援してオープンファクトリー進めているけど、この地域のオープンファクトリー運営はどうだったの?

———もともと、これだけオープンファクトリーが言われる前からこの地域の工場でオープンファクトリーやろう、というのは地元の人間がやっていたんですよ。それに市や国が乗ってきてお金出してくれて、というのはあります。

———そのため運営ノウハウが溜まっているので告知もしっかりしてくれていました。

———これに限らず「イベント」って、やっぱりやるところが民間だろうが国だろうが、先陣切ってやる人間が必要だと思います。場を作りました、だけではダメです。

———東大阪のこのイベントでも元々は民間がやっていたのを市まで巻き込んだ感じです。元々民間サイドでモチベーションやノウハウがあった。民間がモチベーションがあり、それに国なりが載っかったときはうまくいくと思う。東大阪のこのイベントの運営は頑張っていると思います。

11/8-10(金土日) O-ROUND – オーラウンド 大阪 | 大阪の靴 皮革の祭典

O-ROUND – オーラウンド 大阪 | 大阪の靴 皮革の祭典として今回開催され、ムラキ&フェニックスも協力しました。

O-ROUND – オーラウンド 大阪 | 大阪の靴 皮革の祭典

OPEN FACTORY | O-ROUND – オーラウンド 大阪 | 大阪の靴 皮革の祭典

11/8(金)はツアーガイドをしていました。

OPEN FACTORY | O-ROUND – オーラウンド 大阪 | 大阪の靴 皮革の祭典

当日は2時間コース×2回で西川商店・ニシカワレザーや漉き屋さんなどを見学しました。この2時間×2回で声が枯れましたね( ´Д`)=3

HOME – 株式会社 西川商店
レザークラフト材料と革・エキゾチックレザーのニシカワレザー
村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 革を薄くする仕事「漉き割り」の世界 | 欧米ブランドに「負けていないぞ !」 | JLIA 日本皮革産業連合会

11/9.10(土日)はワークショップをしていました

9,10はイベント会場で私の持っている珍奇な革解説やワークショップなどをフェニックスの部長といっしょに行っていました。

 

オープンファクトリーをやるのに大切なこと

自社1つでやるほうがものすごく楽です。

ただ、他の地域や地元に知ってもらうのも難しくなるかな、と思います。やはり運営が「この工場や地域を知ってもらう努力をする」ことがものすごく大切です。

土曜日や日曜日に開催したほうが「知ってもらう」とか「アウトレットセール」などを趣旨にするならば適していると思います。ただ、昨今の「普段休みの土曜日に社員を出勤させる」というハードルの高さがネックかな、と。

これに対して新潟の燕三条では「毎日、希望があれば工場見学出来ますよ!」というシステムを組んでいますね。

工場見学 アーカイブ | 燕三条夢創紀行

また「俺の会社でもオープンファクトリーやってみようかな」という革関係の会社さんはご相談ください。

11/16.17(土日)は兵庫たつの市で兵庫皮革まつりでニューレザーコンテストを見てきた

今年も行ってきました、ニューレザーコンテスト。今年も動画撮ってきました。今年は40分越えちゃいました(;・∀・) でも日本の革面白いんだよ、ほんとに。 オープンファクトリーもこのコンテストもそうですが、「知ってもらう」というのはとても大事です。

今後のムラキの予定

11/29 毎月最終金曜日は20時まで営業の「フェニックスナイト」で客寄せパンダに技術講習しています

2024/11/29 (金) はフェニックスナイトを開催します。今回の初心者さん向け無料セミナーは「固定と摩擦の話~目からウロコが落ちる技術の話」です | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

11/30 フェニックスアウトレットセールで客寄せパンダに講習しています

革のアウトレットセール開催!! | phoenix blog | 1926年創業の革素材問屋のスタッフが、レザークラフトのあれこれを語ります。

1/24.25 革日和in大阪

3/28.29 革日和in名古屋 愛知県

過去の関連blog: